Virtual-Bucker Blender (バーチャルバッカー・ブレンダー)
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シングルコイル×シングルコイル=バーチャルバッカー?
Virtual-Bucker Blender (VBB)は、ST(SSS)/TL(SS)タイプのギターに組み込むことで、シングルコイルピックアップのまま Virtual hSS、Virtual Sh 的な音を生み出すことができるコントールユニットです。
※ピックアップレイアウトを表す hSS/Sh の”h”は、Virtual-Bucker サウンド。(表示の順番はブリッジ側からの並び)

Virtual-Bucker の音のヒミツは、ピックアップの直列(シリーズ)接続+ブレンダーコントロール
一般的なST/TLタイプのギターのピックアップは「並列」につながっていますが、VBBはピックアップセレクタースイッチの特定のポジションにおいて、対となるピックアップが「直列」に接続されます。
そしてブレンダーを介することにより、その出力の変化(単独~直列)をコントロールします。
キレのあるシングルサウンドから、時には「太く」、時には「甘く、切なく」。バーチャルバッカーサウンドで、プレイヤー自身が「おいしい音」のスイートスポットを見つける事が可能です。

STタイプの標準仕様では5wayスイッチの「ブリッジポジョンのみ」で、VBBが機能します。(Virtual hSS)
VBBポジション時
ブレンダー最小: ピュアなブリッジピックアップのシングルコイルサウンド
~ブレンダー最大: 直列に接続されたネックピックアップが徐々に足され、バーチャルバッカーサウンドへ
※VBB時のハムキャンセリング効果については、対となるピックアップの特性(磁極性、巻き方向)に依存します。
特定のスイッチポジションで「のみ」VBBが動作するため(実はここがポイントだったりします)、他のポジション時にわざわざブレンダーポットを「戻す」必要がなく、ノーマル的な使い心地+1ポジション(VBB)専用のプリセットサウンド的な使い方ができるのが特徴です。

TLタイプの標準仕様では4wayスイッチの「一番ネック側のポジションのみ」で、VBBが機能します。(Virtual Sh)
VBBポジション時
ブレンダー最小: ピュアなネックピックアップのシングルコイルサウンド
~ブレンダー最大: 直列に接続されたブリッジピックアップが徐々に足され、バーチャルバッカーサウンドへ
VBB以外の他の3つのポジションには、一般的なTLタイプの3wayと同様のピックアップセレクトが割り当てられています。

【製品仕様】VBBの特性にあわせて厳選したパーツを使用しています。
for ST / for TL 共通事項
製品価格(ユニット価格)はプレート、ジャック込み。ノブは別売。取付費別。
ポットはすべてCTS製のフルサイズ。(耐久性・信頼性など考慮し、ミニポットは使用していません)
※VBB時のハムキャンセリング効果については、対となるピックアップの特性(磁極性、巻き方向)に依存します。
※パーツ表記の「MOD」は当ラボの特殊仕様です。(交換パーツ等の情報は購入時の説明書に記載)
※すべてのパーツはインチ規格。パーツ詳細はすべて「初回限定バージョン」のものであり、予告なく変更する場合があります。
※ミリ規格には直接対応はしていませんが、STタイプはピックガードの一部加工、TLタイプはコントロールプレートの位置調整等で取り付け可能です。
※レフティ対応についてはお問い合わせください。
※直輸入パーツが多い等の理由のため、販売提供価格は変動します。

Virtual-Bucker Blender Control Unit for ST
ユニット価格(税込)¥13,000-
- Pickup Switch: CRL 5way
- Volume: CTS A250kΩ (Vintage Style)
- Master Tone: CTS A500kΩ (Vintage Style)
- Tone Capacitor: SoZo NextGen Yellow Mustard 0.022uF 500V
- Blender: CTS Blender Pot (Vintage Style)
- Control Plate: Fender ’57 Strat Pickguard Shield Plate (MOD)
- Output Jack: Switchcraft 11
- Wires: Gavitt cloth-covered hookup wire (22AWG)
※Fender® USA/MIM/MIJ製品のStratocaster® の多くに対応。(Fender Japan 製品[~2015年]への取り付けは、ピックガードの加工等が必要となります)

Virtual-Bucker Blender Control Unit for TL
TLタイプはスタックポット仕様(with stack pots)と、3ポット仕様(with 3 pots)の2種類を用意しています。
- スタックポット仕様: ユニット価格(税込)¥14,500-
- 3ポット仕様: ユニット価格(税込)¥14,000-
【with stack pots / with 3 pots 共通】
- Pickup Switch: Oak Grigsby 4way
- Volume: CTS A250kΩ (Vintage Style)
- Tone Capacitor: SoZo NextGen Yellow Mustard 0.022uF 500V
- Output Jack: Switchcraft 11
- Wires: Gavitt cloth-covered hookup wire (22AWG)
【with stack pots】使用パーツ
- Master Tone & Blender: CTS Concentric pots (MOD) Tone=A500kΩ / Blender
- Control Plate: 2 holes TL control plate
【with 3 pots】使用パーツ
- Master Tone: CTS A500kΩ (Vintage Style)
- Blender: CTS Blender Pot (Vintage Style)
- Control Plate: 3 holes TL control plate (MOD)
※Fender® USA/MIM/MIJ製品のTelecaster® の多くに対応。(Fender Japan 製品[~2015年]への取り付けは、ボディ側のコントロールプレート取り付け穴調整などが必要となる場合があります)
仕様の仕様 (Appendix)
Virtual-Bucker Blender (VBB)に新しい技術は一切使われていません。
しかしながら、AxE Gears では板橋ラボにて数年にわたる独自の研究開発を重ねました。その結果として完成したユニットには美味しい音のための数々のさじ加減、味付けが施されています。これを当ラボでは「レシピ化」と称しています。
興味がある方は、この「仕様の仕様」をお読みください。もちろん読まなくても、実用上問題ありませんので、別項の「VBBとピックアップとの相性♥相関図」を御覧ください。
「パラレルブレンダー」と「シリーズブレンダー」
「ブレンダー」という言葉、実はエレキギターにおいて明確に定義されているわけではありません。
現在、一般的には(主に海外では)”Blender”という言葉は『2個のシングルコイルピックアップの並列接続で、片側のピックアップを電気的(音量的)にバランス調整する機能』として使われる事が多いようです。「パラレルブレンダー」と称する場合もあります。
「パラレルブレンダー」の実装の歴史は古く、例えばFender®社の初期モデルのひとつとして知られる通称「no-caster」(または「Broadcaster」)のコントロールでは、ブレンドノブによってブリッジピックアップとネックピックアップをブレンドしていく仕様となっています。
また、広い意味では2ボリューム2トーンのギターなどのミックスポジションやJazz Bass のコントロールも「パラレルブレンド」の一種といえるでしょう。
一方、「シリーズブレンダー」は文字通り(日本語的にはあまり直感的ではありませんが)、『2個のピックアップを直列に接続し、電気的(音量・音質的に)単独状態から直列状態に変化させる』機能です。
実は「シリーズブレンダー」は「パラレルブレンダー」と比較すると、エレキギターの世界ではそれほど一般的ではありません。
AxE Gear では日本語として少しでも音のイメージが伝わるように、「シリーズブレンダー」の機能を「バーチャルバッカーブレンダー (Virtual-Bucker Blender)」と名付けました。
※その他、2連バランサーポット(これをブレンドポットと呼ぶメーカーもあるので紛らわしい)を使って2つのピックアップのミックスバランスを調整する方法(Jazz Bass の改造等)もありますが、この「仕様の仕様」においては「ブレンダー」としては除外します。
バーチャルバッカーブレンダー (Virtual-Bucker Blender) の技術的仕様
Virtual-Bucker Blender (VBB) は、ST/TLタイプとも従来からある2つの電気的手法の合せ技で設計されています。
- 1. Telecaster®のカスタム方法の一つとして有名な4way スイッチを使ったピックアップのシリーズ接続(Fender®が販売する4way スイッチの説明書にも記載されています)
- 2. ハムバッカーのコイルタップをブレンダーポットを使って可変的にコントロールする方法(Fralin Pickups が公開している”Gradual-Tap”)
1つ目の『4way スイッチを使ったピックアップのシリーズ接続』は、伝統的には Telecaster®のネックピックアップに、ブリッジピックアップを直列で接続する方法です。
2つ目の”Gradual Tap” は、ハムバッカーの2つの直結されたコイルの間にコイルタップ用の線を用意し、それをブレンダーポットの可変抵抗によりグランドに落とす量をコントロールするものです。(※「グランド」=日本では「アース」と称される事が多い)
この”Gradual Tap”を、ハムバッカーではなく4way配線などで直列に接続した2つのシングルコイルで行っているのが、”Virtual-Bucker Blender”の基本技術となっています。(当ラボでは具体的な配線図等を現時点ではWEB公開していません)
シリーズブレンダーにおける、2つの異なる方法
シリーズブレンダーには、大きくわけて「旧方式(従来方式)」と「新方式」があります(名称は当ラボ独自のもの)
※電気的な説明なので、読み飛ばしを推奨します。
「旧方式」は、電気的にはポットを使った「分圧」により、単独~直列をスムーズに変更させるものです。構造上、変化の途中段階でピックアップ間に抵抗が介在するため、シングル状態から直列に変化するまでの途中で音量が一旦下がる傾向があります(国産のものに多く、ポット操作によるシングル→直列への変更が反時計周りのものが多い)。また特殊なポットを使う場合もあり、そのため交換時の単価が高くなる可能性があります。
「旧方式」のメリットとしてはミニポットやミリ規格のものが用意されている等、他にも従来品ならではの利点が数多くありそうですが未確認です。
「新方式」は先に引用した”Gradual Tap”によるものです。いわば可変タップと直訳できるこの方式では2つのコイル間は常に直結しているため、シングル→シリーズへの変化途中で電圧(音量)が下がる事はありません。また、現在では比較的安価で入手可能となっているCTS製ブレンダーポット(一部のノーロード・トーンポットでも代用可)を使用するので、交換時の費用も抑える事ができます。デメリットとしては変化のカーブがピックアップの抵抗値などの影響を受けやすい傾向がある事。当ラボの検証では高出力(抵抗値が大きい)のピックアップの場合、変化が急になる傾向があります。
上記「新方式」が持つ別の大きな利点は、一般的なブレンダーポットを使用した場合、シングル→シリーズへの変化が時計回りなので「直感的」な操作がしやすい事です。(「直感的」は当ラボの感想です)